心理的瑕疵の問題

 こんな事件がありました。

 昭和61年1月、戊田(仮名)の内縁の妻が実の息子に殺害され、その遺体はバラバラにされて山中に埋められるという事件がありました。昭和63年3月23日、戊田(仮名)の娘が本件建物のベランダで首をくくって自殺するということがありました。

 四国の松山市における事件でした。平成21年には戸建てだった建物はすでになく、更地で転々と所有者が入れ替わっていた。その土地に住宅を建築して子供二人と夫婦の4人で暮らそうと考えて売買契約をしたところ、過去に自殺のあった土地であることが、後になって分かりました。

 売却した業者は、説明がなかったとして損害賠償請求が認められた事件でした。

 自殺事件が20数年前の出来事でありながら、そこには、かつて内縁の妻と娘と父親の3人で暮らしていたところ、別居の実の息子が内縁の妻を殺害し、遺体をバラバラにして山中に遺棄するという、陰惨な事件でした。

 その後、2年ほどして、殺人事件の遺族である娘さんは、来る日も来る日も殺人事件の噂による心労の負担に耐えかねて、とうとう、その自宅において縊首しました。

 この事件は、殺人事件や自殺事件のご遺族を保護をするための法律が全くないため、いつまでも、テレビ、雑誌、新聞等のマスコミによる話が興味半分にいつまでも伝えられることによって、ご遺族に対して、精神的苦痛を周囲の人間が与えているということではないでしょうか? 

 わたくしは、個人情報保護法を改正し、自殺、殺人事件のご遺族の個人情報の開示を制限する法制度が、今こそ、必要なのではないでしょうか?

 国交省が、自殺等の心理的瑕疵についての告知ガイドラインを公表したところですが、このガイドラインには法的根拠がどこにもないため、不動産業界では、この問題の対応に苦慮しているところです。

 

You Tube動画

https://www.youtube.com/watch?v=1TlTWvASquk&t=5s

 

2022年07月17日