受忍限度内の欠陥は契約内容不適合に該当せず!

 

 「欠陥のない不動産は存在しません」なんて言うセールストークが、昔からあります。

 営業マンが、お客が物件を見て、いぶかしい顔をしているときに、「欠陥のない不動産なんてありませんよ」と、説得します。「この不動産は世界に一つしかないんですよ」などと。

 

 この言葉は、ある意味では、真実を語っているのかもしれません。

 第一種低層住居専用地域の住宅地の物件は、住宅環境のいい物件です。しかし、反対から見れば、中高層の建築物を建てたい人にとっては、欠点でしかありませんね。

 

 問題は、買主にとって、「受忍限度内かいなか」ということです。

 

 不動産には欠陥が、いろいろありますが、「これは買主の受忍限度内です」とされるような事象は、「契約の内容の不適合」には該当しません。

 

 不適合に該当しない事象は、「重要事項説明の対象外」ということもできますが、後で、問題になるかもしれないときは、「追加説明」をしておく安全策があっていいでしょう。

 

 むしろ、「受忍限度内」とされそうな事項には、どのような事柄があるでしょうか?

 

 これらの事象をすべて、事前に、特約合意が行なわれていれば、不動産トラブルは、大幅に、激減するのではないでしょうか?

 

 例えば、「土壌汚染調査による結果が基準値未満の場合」は、受忍限度内とされるでしょう。「健康被害を想定できない範囲を基準値未満として算出された数値」ということでしょう。健康被害がなければ、「契約内容不適合」には、該当しないですね。

 一方、環境基本法のうち、「水質の汚染」と「土壌の汚染」については、直接、人間の健康被害に影響するため、基準値を超えれば、直ちに、何らかの行政指導等が行なわれるかもしれません。

 

 しかし、「基準値未満でも、人によって、心理的に不快感が残る」場合は、「契約内容不適合とされるかもしれません。そうすると、「受忍限度内」ではなくなってしまいます。

 

 この、どっちつかずの事象を”グレーゾーン”といいますが、あらかじめ、「検査結果が基準値未満で検出された場合でも、買主の受忍限度内である」、という特約合意があれば、契約内容不適合事象が減少することになるでしょう。この辺のところが、不動産取引のポイントになりそうです。


 この「受忍限度内の事象には、どのようなものがあるか」について、今後、研究が必要になってくるでしょう。 

 

 

 エスクロー図書館に、「開発文書・重要事項調査説明方法基準」(2024年7月28日開発版)を蔵書しましたので、ダウンロードして、ご利用ください。(雨の吹込みと雨漏りの説明を解説しています)

 

 

 


 

 ご希望の方は、エスクロー図書館にお入りください。 

 

エスクロー図書館に蔵書しました。

「開発文書・重要事項調査説明方法基準」2024年7月8日版

「開発文書・災害時にも対応する私道の念書」

「開発文書・売主の不動産情報告知書」2024年2月版

「開発文書・契約内容不適合確認合意書」2023年11月版

「法令・2023.4.1施行・法務省通達 抜粋(買戻特約の抹消)

「法令・2012.4月施行・森林法・所有者変更届出義務パンフ 」

「開発文書・初回の現地調査チェックシート」

「開発文書・不動産情報告知書2024.2.10土地・古家付土地用」

「開発文書・不動産情報告知書2024.2.10土地・区分建物用」

「開発文書・不動産情報告知書2024.2.10土地・土地建物用」

 


 

2024年09月03日