契約内容不適合確認合意書の課題とは?

 不動産取引におけるグレーゾーンの存在するエリアとは、その多くが「心理的瑕疵」と言われるものに集中しています。

 特に、「心理的瑕疵の履歴の存在時期」は、グレーゾーンそのものではないでしょうか?

 

  この、心理的瑕疵が存在した時期において、明らかに、誰が見ても、「契約内容不適合には該当しない時期」というものがあると思います。

 

 例えば、江戸時代における心理的瑕疵の存在は、言うまでもなく、契約内容不適合には該当しない事例、と考えられます。

 それでは、明治時代における心理的瑕疵の存在は、やはり、不適合には該当しない時期といえます。

 次の、大正時代における心理的瑕疵の存在についても、不適合には該当しない、という合意があっても、何ら、売主・買主間で争いは少ないと思います。

 

 それでは、昭和の時代における自殺、他殺、火災死亡などは、やや、微妙な時期になってきます。しかし、昭和20年以前の戦前や戦時中における自殺、他殺等は、当事者間で合意があれば、契約内容不適合には該当しない旨の合意は可能です。

 

 さらに、近代に近づいて、過去30年以前に存在する自殺、他殺、火災死亡等の心理的瑕疵で、物件周辺において二人以上に風評の記憶が存在する場合でも、「契約内容不適合に該当しない」旨の合意は、売主・買主のいずれにおいても、異論がない限り可能ではないだろうか?という課題があります。

 

 少なくとも、売主個人では、可能なような気がします。しかし、売主事業者、売主宅建業者などの場合は、消費者契約法において、不利な特約に該当しないかどうか、という点に、課題がありそうです。

 

 少し、業界で、検討したいと思います。

 

 これが、宅建業者、事業者においても、可能であれば、次のような文言が考えられそうです。

 「本物件の売買契約締結日より過去30年以前における自殺、他殺、火災死亡において、物件周辺に2人以上の風評の記憶が存在したとしても、契約内容不適合には該当しない」という信義則上の合意文書が考えられますが、この特約合意文書は、もう少し、検討してから、活用できるかどうか、法曹関係者と検討してから、利用するか否かを判断したいですね。これが、今後の重要な課題といえるでしょう。

 

 

 

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「開発文書・契約内容不適合確認合意書」2023年11月版

「法令・2023.4.1施行・法務省通達 抜粋(買戻特約の抹消)

「法令・2012.4月施行・森林法・所有者変更届出義務パンフ 」

「開発文書・初回の現地調査チェックシート」

「開発文書・不動産情報告知書2023.7.15土地・古家付土地用」

「開発文書・不動産情報告知書2023.7.15土地・区分建物用」

「開発文書・不動産情報告知書2023.7.15土地・土地建物用」

 

2023年12月08日