現況照合をすべき書類とは何か?

 

 最高裁は、「不動産登記法一七条所定の登記所備付地図(いわゆる一七条地図)は、現地指示能力及び現地復元能力を有し、土地の所在、範囲を特定する際の重要な資料であり、現況調査の目的となる土地につき登記所備付地図がある場合には、右地図と現地の状況を方位や道路、隣地との位置関係等から照合して土地の特定を行うのが通常の調査方法と考えられる」(平成9年07月15日判決)として、境界を復元できるほどの確定した地図が存在する場合は、これを現地と照合をする業務は通常の不動産調査である、としました。

 

 ここで、一歩下がって、これらの判例を検討する時期が来ました。

 

 不動産売買における重要事項調査においては、数多くの添付書類が集まります。このような数多くの書類については、「宅建業者は、どこまで書類照合をして、内容の確認をすることが義務付けられるでしょうか?」という命題があります。

 

 判例のように、「境界を復元できる地図」がある場合、としています。この場合は、現地と照合をすれば、図面と現況とが相違していれば、現況の不動産には”瑕疵がある”(つまり不適合状態にある)ということになります。

 

 それでは、境界標を復元できない「現況地積測量図」の場合ならば、どうでしょうか?

物件によっては、図面と現況とが相違している場合があります。

 その時は、「現況の不動産には契約不適合が存在する」と言えるでしょうか?

 

 図面に問題があるのかもしれません。

 

 そして、不動産の瑕疵は、将来、敷地境界確定測量図を作成する作業を実施した際に、初めて、「現況の不動産には瑕疵が存在する」という結果が判明することになります。

 

 そうすると、現時点では、「瑕疵の存在の可能性」については、常に、存在するのですが、将来の瑕疵の存在の可能性は、不動産の瑕疵と言えるでしょうか?

 

 最高裁は、この問題にも、過去に、判断を下していました。

 

 「瑕疵の存在の可能性は、不動産の瑕疵ではない」という有名な判決です。

 

 不動産の瑕疵ではないのであれば、宅建業者には調査説明義務もありません。ここが大事なところです。

 

 このように考えてくると、「書類の現況照合をすべき通常の書類」とは、どのような書類かが幾分わかってきたと思います。


 今後、この問題について、さらに、、検討を加えたいと思います。

 

 

 

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2025年11月11日