コンクリート製造工場の隣接地住民が、右工場の操業に起因する騒音等により被害を受けているとして操業の差し止め及び慰謝料の支払いを請求したのに対し、最高裁は、令和6年3月24日、環境法令の騒音基準値を超える違反があったとしても、その違反だけで、受忍限度を超える違法があるとは言えない、と判決しました。
最高裁は、以下のように、判断をしました。
「工場等の操業に伴う騒音、粉じんによる被害が、第三者に対する関係において、違
法な権利侵害ないし利益侵害になるかどうかは、侵害行為の態様、侵害の程度、被侵
害利益の性質と内容、当該工場等の所在地の地域環境、侵害行為の開始とその後の継
続の経過及び状況、その間に採られた被害の防止に関する措置の有無及びその内容、
効果等の諸般の事情を総合的に考察して、被害が一般社会生活上受忍すべき程度を超
えるものかどうかによって決すべきである。
工場等の操業が法令等に違反するものであるかどうかは、右の受忍すべき程度を超えるかどうかを判断するに際し、右諸般の事情の一つとして考慮されるべきであるとしても、それらに違反していることのみをもって、第三者との関係において、その権利ないし利益を違法に侵害していると断定することはできない。」
このように、受忍限度には、10%から20%程度の基準値越えであっても、周囲の状況や対策の経緯など、様々な事情も考慮して決められるべきものとした、判例です。
そうしますと、環境基準値は、目標的な目安として設定されているため、これに違反したからといって、直ちに、行政処分の対象とはなりにくいのが現状のようです。
今後は、このことを契機に、「環境基準値未満の騒音、振動等は、契約の内容の不適合事象には該当しない」といった、事前合意が可能となってくるでしょう。(令和6年3月24日、最高裁)
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「開発文書・不動産情報告知書2024.2.10土地・区分建物用」
「開発文書・不動産情報告知書2024.2.10土地・土地建物用」