特別依頼業務の申請手続きは法令違反か?

 

 

 不動産売買においては、物件の状況により、「特別依頼業務」が生じる場合があります。誤解が起きないように、少し、詳しく解説します。

 

 「農地転用許可申請書」や「農地転用届出書」、「国土法届出」など、容易な手続きは、不動産売買契約特約に定める「停止条件」とされていますので、この手続きが完了しなかった場合は、売買契約は、通常、白紙解除になります。

 

 この仕事は、一見、行政書士の業務のようですが、宅建業者による不動産売買の取引完了のための必須行為です。

 

 この作業は、農地法上は、「当事者の申請」となっており、また、国土法は、譲受人の義務であり、宅建業者の義務とはされていませんが、実際は、報酬を得ずに、無償で業務を遂行しています。

 

 このように、宅建業者は、行政手続きを、取引の中で、たまたま発生した手続きを実行しているのですが、この作業の手続き費用を受領することは、宅建業の付随業務です。

 

 ただし、これを業として行なっている場合は、行政書士法違反になりますので注意が必要です。

 

 「役所申請手続きを業として行なう」とは、「取引で、たまたま、生じた農地転用手続きを行ったような場合」ではなく、「農地転用手続きを代行」という広告看板を掲げて、反復継続して、毎年、行うことです。

 

 たとえば、無免許業者が、毎年、不動産売買を実行している場合は、反復継続なため、無免許業者として、罰則を受けます。

 これと同じく、宅建業者が、「業として」行なっているか、否か、という点が、注意点です。

 

 もっとも、宅建業者が、「特別依頼業務の内の書類申請業務で報酬を受領する」ケースは、まれな例であって、業として行っている人は、実際には、いないでしょう。

 この業務の解説は、あくまでも、宅建業法の法理論的な見解ですので、あらかじめ、ご了承ください。業として行った場合は、下記のように制限されます。

 

 

<行政書士法>参考

(業務の制限)

第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。

 

第二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一 行政書士となる資格を有しない者で、日本行政書士会連合会に対し、その資格につき虚偽の申請をして行政書士名簿に登録させたもの

二 第十九条第一項の規定に違反した者

 

 以上、業としていないことが大切です。

 

 

 

 宅建業者が行う「特別依頼業務一覧表」は「エスクロー図書館」に蔵書しています。


 

 ご希望の方は、エスクロー図書館にお入りください。 

 

エスクロー図書館に蔵書しました。

「千葉市との協力文書・都市計画法・建築基準法その他法令の制限の概要」

「開発文書・重要事項調査説明方法基準」2024年7月8日版

「開発文書・災害時にも対応する私道の念書」

「開発文書・売主の不動産情報告知書」2024年2月版

「開発文書・契約内容不適合確認合意書」2023年11月版

「法令・2023.4.1施行・法務省通達 抜粋(買戻特約の抹消)

「法令・2012.4月施行・森林法・所有者変更届出義務パンフ 」

「開発文書・初回の現地調査チェックシート」

「開発文書・不動産情報告知書2024.2.10土地・古家付土地用」

「開発文書・不動産情報告知書2024.2.10土地・区分建物用」

「開発文書・不動産情報告知書2024.2.10土地・土地建物用」

 


 

2024年10月17日