「付帯設備」という言葉は、もともと新築分譲住宅に設備している建築設備のことで、これを付帯設備表として、分譲会社が表示をして住宅を販売してきたものです。
この意味で、付帯設備というものは、性能機能という点では完全なものでなければなりませんでした。このような感覚がある付帯設備は、当然にも、新築住宅が経年変化をして中古住宅となった時点においても、それなりの品質性能が存在する、という前提があります。
それは、耐用年数の視点からも考えられることから、税務上の耐用年数は10年、15年と残存価値としては、長期になるものです。
そうすると、付帯設備として、住宅に付帯する設備は、いつまでも、品質性能がなければならない、という考え方が自然と生じることになります。つまり、故障していない付帯設備は、常に、使えなければならない、という考えになります。
そこでは、「しばらく住宅を退去して空家にしたら、クーラーが動かなくなった」、「給湯機が正常に働かない」など、様々な買主からの訴えで、売主は困っているのが現状です。
このようなことから、このトラブルを防止するためには、本来、「付帯設備」を表にしたのはなぜか?と考える時期に来たのではないでしょうか?
不動産販売で不動産の所有権が移転すると、住宅に付帯する動産は、全て従物としてみなされ、従物は、自動的に買主に所有権が移転します。このため、売主は、「この設備や動産の一部は、引っ越し先に持っていく」という表示をしていない場合は、全て買主のものになってしまうため、「撤去する設備を表示する書面」を作成する必要があったのです。
つまり、撤去するものを表示する「撤去物一覧表」が必要なのですが、撤去しないで置いていく「付帯物」を表示する方が、不動産販売の際の「セールスポイント」になるため、表現を売主目線の「撤去物一覧表」ではなく、買主目線の「付帯物表」が、主流となってしまって、現在まで来たのです。
そこで、今後は、このような付帯物という表現は、設備の価値自体を表示するものから、「売主が撤去するものを表示」する方向の書類とし、書類のタイトルは、「残置物一覧表」として、「売主が無償で残置するもの」を表示するようにします。その中で、いくつかの品質保証期間があり、「売主が保証可能なもののみ、性能保証する」という書類の方が、消費者にもわかりやすいと思います。
たとえば、賃貸住宅においても、前の居住者が置いて退室したクーラーなどがあるときは、「借主はこれを自由に使用でき、壊れたら自分で修理する」という説明で、引き渡しを受けることを考えれば、当然でしょう。
つまり、これからは、性能のある「付帯設備表」ではなく、無償で残置する「残置物表」を、作成して配布することが大切となります。
そうすると、今後は、「中古住宅の建物内にある建築設備の中で、どれか、今後も使えるものはないか」といって、買主が「実地検分」をして、自分の個人的な満足度で、「いい・わるい」を判断をして、購入する、というスタイルが定着することになるでしょう。
残置物表の説明文には、「買主はご自分の個人的満足度については、現地で自ら実地検分をして、じかに、ご確認ください」という説明によって、設備の性能の有無に関するトラブルをなくすことができるでしょう。
「残置物一覧表」は、以下の「不動産情報告知書」に記載されています。
エスクロー図書館に蔵書しました。
「開発文書・不動産情報告知書2023.7.15土地・古家付土地用」
「開発文書・不動産情報告知書2023.7.15土地・区分建物用」
「開発文書・不動産情報告知書2023.7.15土地・土地建物用」