”雨漏り”とは具体的損害の発生事実が必用!

 

 建物の補修工事で、不良工事をした業者とのあいだで、施主が雨漏りの損害賠償請求の訴訟を起こした事件がありました。

 

 そこでは、重要な情報がありました。

 

 「本件工事の目的物には,②の機能(断熱材の水蒸気の放出を妨げないように通気を確保する)が十分に果たされないおそれや,合板に対し③の機能(サイディングの内側にある材料を漏水から保護するという機能)が果たされていないことから合板等が劣化するおそれ,さらには具体的損害が発生した場合に建材メーカーによる10年間の保証を受けられないおそれが生じていることが認められるが,これらはいずれも可能性の域を出るものではなく,雨漏り等の具体的損害が発生している事実を認めるに足りる証拠はない。」

 

 「このように,本件工事の目的物は,現況でも相応に外壁としての機能を果たしていることが窺われることからすると,全く無価値であるとはいい難いから,工事のやり直しの費用をもって損害額を算定することは相当とはいうことができない」(札幌地裁H14.9.5)

 

 そして、「比較的軽微な瑕疵があるがその修補に著しく過分の費用を要する場合において,修補に代えて改造工事費用について損害賠償請求をすることは許されないとしている。」(最高裁S.58.1.20)

 

 このように、”雨漏り”とは、「雨漏り等の具体的損害が発生している事実」が、必要とされています。

 したがって、「雨の吹込みによる屋根裏の合板についたシミ」などは、”雨漏り”には該当しない、ということが大切ですね。

 

 「壁のクロスの張替えが必要」、「天井のクロスの張替えが必用」、「衣類についた雨によるシミのクリーニング代」、「家具のよごれ」、など、具体的な損害の事実がない場合は、”雨漏りによる損害”とはみなされていません。

 

 

 エスクロー図書館に、「開発文書・重要事項調査説明方法基準」(2024年7月28日開発版)を蔵書しましたので、ダウンロードして、ご利用ください。(雨の吹込みと雨漏りの説明を解説しています)

 

 

 


 

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エスクロー図書館に蔵書しました。

「開発文書・重要事項調査説明方法基準」2024年7月8日版

「開発文書・災害時にも対応する私道の念書」

「開発文書・売主の不動産情報告知書」2024年2月版

「開発文書・契約内容不適合確認合意書」2023年11月版

「法令・2023.4.1施行・法務省通達 抜粋(買戻特約の抹消)

「法令・2012.4月施行・森林法・所有者変更届出義務パンフ 」

「開発文書・初回の現地調査チェックシート」

「開発文書・不動産情報告知書2024.2.10土地・古家付土地用」

「開発文書・不動産情報告知書2024.2.10土地・区分建物用」

「開発文書・不動産情報告知書2024.2.10土地・土地建物用」

 


 

2024年08月30日