このような“がけ”条例があるのに、取引現場において、忘れてしまうことがあります。
それは、全国の”がけ”条例はそれぞれの地方の実情に応じて、“がけ”規制の高さや建築規制範囲が異なり、全国一律の法律ではありません。
このため、全国一律の標準書式の売買重要事項説明書には、”がけ”条例の記載欄はありません。その結果、重要事項説明書に、記載し忘れてしまう場合があります。
しかし、“がけ”があるのに“がけ”の規制はどうだろうか?と、最初に、現地で疑問に感じていれば、起きなかった事件かも知れません。
こんな事件がありました。
現地にはコンクリート擁壁があり、工作物の確認、検査済証もありました。しかし、現地照合の確認調査の中で、外見からはコンクリート擁壁の上に、4段のブロックが積まれ、敷地内側から見るとブロック2段分の高さで盛土が行われていました。
建築確認担当課に照会したところ、その回答は、「現地の状況は2段盛土で、盛土の土砂を除去しなければ、この敷地での再建築の際の確認は出ない」とのことでした。
実際の取引では、このことを重要事項説明書で説明をして、無事に取引が行われました。
現地で、“がけ”斜面に擁壁が存在しているときは、工作物の許認可及び検査の記録の調査が必要です。建築基準法の工作物確認、都市計画法の開発許可、宅地造成許可、旧住宅地造成事業法による認可、区画整理事業の認可などによる擁壁の許認可記録を取得します。
設計図書を入手できた場合は、設計図上の工作物の高さと現地の擁壁の高さが一致しているかを、確認します。また、許可があっても検査済証がない場合は、擁壁は存在しないものとみなされます。
一方、この事例のように、検査済証があっても擁壁の利用方法によっては、対象地での建築確認が出ません。2段盛土の場合や2段擁壁の場合は、検査済証があっても、2段擁壁、2段盛土の状態を元の状態に復元しない場合は、その敷地での建築確認を取得できないため、注意が必要です。
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「法令・2012.4月施行・森林法・所有者変更届出義務パンフ 」
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「開発文書・不動産情報告知書2023.7.15土地・古家付土地用」
「開発文書・不動産情報告知書2023.7.15土地・区分建物用」
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