こんな事件がありました。
埼玉県大井町において、平成10年に宅建業者が建売住宅3棟を売却し、そのうち1棟を買主が3600万円で購入したところ、平成11年に総雨量205ミリの降雨があり、大雨洪水警報が発令され、大井町は災害対策本部を設置していたところ、本物件土地の駐車場部分が冠水し、駐車していた車両は、後部ナンバープレートの下付近まで水に浸かった。
その水位は床下浸水の危険があるようなものではなかったが、「本件土地は、大雨の時など容易に冠水し、宅地として使用することができず、これは売買の目的物の隠れたる瑕疵に当たる。売買契約の際、売主、仲介業者がその点についての説明をしなかったことは説明義務違反に当たる」などと主張して1000万円の損害賠償請求をしました。
判決では、「本件土地に冠水被害が周辺一帯に生じていた事実は認められるが、冠水被害があることは、価格評価の中で吸収されているのであり、これをもって直ちに本件土地に瑕疵があるとして、売主の瑕疵担保責任を認めることは困難である。
このような土地の場所的・環境的要因に基づく性状について、具体的事実を認識していた場合はともかく、宅建業者を含む販売業者に説明義務があることを基礎づけるような法令上の根拠や業界の慣行等があるとも認め難い」と、棄却しました。(平成15年9月25日、東京高裁・浅生重樹裁判長)
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