売買重要事項説明は、いったい誰がしなければならないか?
この命題の答えは、「売主個人ではなく、宅建業者である」と、いった一見当たり前のような答えが待っているように見えますが、本当にそうでしょうか?
これを覆す、こんな事件がありました。
「買主は本件土地を自己の永住する居宅の敷地として使用する目的で、そのことを表示して売主から買い受けたのであるが、本件土地の約8割が東京都市計画街路として施行される道路敷地に該当し、同地上に建物を建築しても、早晩その実施により建物の全部または一部を撤去しなければならない事情があるため、契約の目的を達することができないのである。
また、都市計画事業の一環として都市計画街路が公示されたとしても、それが告示の形式でなされ、しかも、右告示が売買成立の10数年以前になされたという事情をも考慮するときは、買主が、本件土地の大部分が都市計画街路境域内にあることを知らなかつた一事により過失があるとはいえないから、本件土地の瑕疵は民法570条にいう隠れた瑕疵に当る。」と。
(最高裁裁判長・長部謹吾)
売主が、法律上の説明などが満足にできない個人の場合であっても、法律上の瑕疵があるので、買主の請求が認められた事件です。
法令上の瑕疵がある場合、売主は、公示されているからと言って逃れられないのです。
このような場合、売主は、損害賠償請求に応じなければならないので、不動産の専門家である宅建業者に、調査説明を依頼することが安全である、ということができます。
したがって、売買重要事項説明をしなければならない人は、売主個人である、ということが大切です。
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