4種類のインスペクション特約について(2)

 

 2. 高額化する土壌汚染対策工事
土壌汚染対策工事には多額な費用となることが多く、契約内容不適合担保免責特約を付加しても、買主から、「想定されていなかった契約内容不適合」とした訴訟が想定されています。この対策として、第1に、「インスペクションの結果、環境基本法第16条第1項による土壌汚染に係る環境基準に定める基準値未満の場合は、買主の受忍限度の範囲内とし、契約内容不適合に該当しないことを、売主買主は互いに合意した」という特約や、第2に、「契約締結後、買主は速やかに、自己の責任と負担をもって土壌汚染のインスペクションを実施し、その検査結果の如何を問わず、結果報告書の受領日の翌日から3日間に限り、買主は書面により白紙解除ができる」という特約が有効です。そして、最もトラブルリスクが少ない方法は、第3に、「売買契約締結前の土壌汚染検査の実施」です。もちろん、建付け地の状況により検査ができない場合もあります。

 

 3. 地中障害物のインスペクション
 地中障害物では、「浄化槽の残置」、「地下室の残置」、「地下貯水槽の残置」、「地下給油タンクの残置」、「巨大な自然岩石」、「産業破棄物の残置」などがあります。地中障害物によるトラブルでは、不動産取引後に実施した地盤調査により、「聞かされていなかった軟弱地盤で地盤補強費用が必要になった」などといった事例も数多い。最近では、某地盤調査会社は、「住宅の地盤調査費用は3万円ほど。報告書は1週間くらいで届けられる」とするところもあり、利用しやすくなりました。このため、買主による売買契約締結前のインスペクションは有効です。一方、契約締結後のインスペクションでは、重要事項説明書において、「本物件周辺は軟弱地盤です」や「耐震重量建築物を建築する場合は地盤改良が必要です」などの説明が必要です。また、トラブル対策では、「検査報告書受領日の翌日の3日間に限り書面により白紙解除できる」という特約が有効です。米国では、これをデューデリジェンスピリオドと呼び、日常的に利用されています。このため、米国では、不動産トラブルは非常に少ないのです。

 

 

 以下次号へ

2023年04月02日