買主の購入動機は、契約内容の一部!

 

  買主の購入動機をめぐって、こんな事件がありました。


 買主の1歳9か月の長女は、ぜんそくと診断され、医師の勧めもあり、長女のために空気の良い所への転居を考えていた。仲介業者の店舗に行き、店員に、「長女が喘息なので、空気が良く、緑がある所の物件を希望する」旨を伝えた。

 

 その後、平成10年12月、2750万円で戸建ての売買契約を締結した。

 

 「本件売買当時、本件不動産の南東側は約4mの水路敷地に接し、さらにその先には高さ約10mほどの竹や雑木が繁茂する小高い丘が続いていた。平成11年2月4日、本件不動産に転居したが、同月15日、佐倉市井野西土地区画整理組合から工事を請け負った工事担当者が来訪し、初めて擁壁の設置を聞かされた。同年4月ころ、工事が始まり、同年11月ころ完成した。この擁壁は、本件不動産の南東側約4mの位置に高さ約5mの垂直の擁壁が約100mに渡って建設され始め、同年11月ころ完成した。買主が問題にするのは、これに伴う周辺環境であり、これが買主の期待ないし予想に反して本件売買の前後で大きく変動し、買主の購入動機と相容れず、その目的を達成できなくなったこと」です。

 

 判決では、売主については、「売主業者は、本件売買において、買主の有する本件不動産の購入動機・目的を誰からも知らされず、結局、これを知らなかったものと認められるから、買主と売主業者との間において、買主の本件不動産の購入動機・目的を前提として周辺環境について何らかの保証等がされた事実も認めることができない。」として、売主の責任は認めませんでした。

 

 しかし、仲介業者に対しては、「不動産購入の動機・目的は、不動産購入を決定する際の重要な要素であることは明らかであるから、仲介業者としては、それが売買の目的物に直接関係することではないとしても、これを知った以上はその動機・目的に反する結果を生じることがないように注意を払う仲介契約上の義務があるというべきである。」として、300万円の支払いを命じました。(平成14年1月10日千葉地裁伊藤敏孝)

 

 

 

 

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「開発文書・売主の不動産情報告知書」2024年2月版

「開発文書・契約内容不適合確認合意書」2023年11月版

「法令・2023.4.1施行・法務省通達 抜粋(買戻特約の抹消)

「法令・2012.4月施行・森林法・所有者変更届出義務パンフ 」

「開発文書・初回の現地調査チェックシート」

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2024年03月06日