境界と筆界の違い

 近々に売買契約を予定しているときは、契約を無事に遂行できるように、最終的な重要事項調査によって取引の安全を図ることが必要です。本節では、「売主による境界の明示」に関する確認調査について述べます。


2. 境界と筆界の違い!
 2006年1月20日、不動産登記法改正で、「筆界特定制度」が施行されました。この制度は、敷地分割などの際に、「隣接地主が押印を拒むため分筆登記ができない」などの理由で申請をすると、筆界特定登記官が職権により筆界を定めてくれます。過去16年間に、37,000件が登記されています。登記されると、土地の登記事項証明書の表題部1ページ2行目の筆界特定欄が空白ではなく、№等が記載され、筆界登記の有無を確認することができます。

 

 この制度では、「所有権の境界」と「筆界」とを分けて、「筆界」は“真の境界”と言われ、当事者間で合意して定めることはできません。しかし、「所有権の境界」は、当事者間で自由に定めることができます。この制度は、筆界を定める制度のため、筆界特定されても、「所有権の境界」は、そのままです。そうなると、2種類の境界が存在することになります。この筆界特定は、これまで5年、6年かかっていたものを、概ね、10か月で完了を目的としていますが、「検査を拒み、妨げ、又は忌避した者」、「質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者」、「立入りを拒み、又は妨げた者」は、「30万円以下の罰金」に処せられるという厳しい法律です。このようなことから、隣地と口も聞けない険悪な関係や過去に境界紛争があっても、申請することができます。筆界特定のある物件は、「売主による境界の明示」がスムーズになりますが、「所有権の境界」と一致していない場合もあるため、法務局の筆界特定図(450円)を取得して確認することが必要です。

 

2023年02月11日