不適合担保免責特約の限界点とは?

 日常の不動産売買において、「契約内容不適合担保免責特約」を付加する不動産取引は、非常に数も増えています。

 

 実は、この取引には、大きな欠陥がありますので、注意が必要です。

 

 2023年4月22日の最高裁判例の裁判長の説明から、説明します。

 

 始めに、「民法には,契約準備段階における当事者の義務を規定したものはない」ということを、確認することが大切です。

 

 つまり、売主及び買主の契約前の説明義務を規定する法律が存在しないため、取引が成立した後に起きる瑕疵の存在の有無をめぐっての、不動産トラブルが、絶えないということです。

 

 このため、「本件のような説明義務は,そもそも契約関係に入るか否かの判断をする際に問題になるものであり,契約締結前に限ってその存否,違反の有無が問題になるものである。加えて,そのような説明義務の存否,内容,程度等は,当事者の立場や状況,交渉の経緯等の具体的な事情を前提にした上で,信義則により決められるもの」という、最高裁の説明が出ることになります。

 

 これが、買主や売主の個別事情により変化する契約内容が問題だ、とする、理由です。

 

  このような社会情勢の中で、「契約内容不適合免責特約」は、どのように扱われるでしょうか?

 

 2020年4月1日施行の改正民法では、第521条第2項に、「契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。」と、明記され、あらゆる特約は、法令の制限内において、自由に決定できる」とされました。

 

 これが、「契約内容不適合担保免責特約」の根拠です。

 

 しかし、572条では、「売主は、第562条第1項本文又は第565条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。」として、「知っていて、告げざりしときは、その特約は無効」となります。

 

 それでは、どうしたらいいか?という答えですが、肝心の「契約内容不適合に該当しない事象について、あらかじめ、当事者が、信義則上の合意および決定をしておくこと」が、最も大切だ、ということになります。

 

 言い換えれば、「契約内容不適合の確認合意書」の作成が、この対策ということです。

 

 ご希望の方は、エスクロー図書館にお入りください。

 

エスクロー図書館に蔵書しました。

「開発文書・契約内容不適合確認合意書」2023年11月版

「法令・2023.4.1施行・法務省通達 抜粋(買戻特約の抹消)

「法令・2012.4月施行・森林法・所有者変更届出義務パンフ 」

「開発文書・初回の現地調査チェックシート」

「開発文書・不動産情報告知書2023.7.15土地・古家付土地用」

「開発文書・不動産情報告知書2023.7.15土地・区分建物用」

「開発文書・不動産情報告知書2023.7.15土地・土地建物用」

 

2023年12月01日